白神の魚たち

どんな魚が捕れるの?美味しいの?

初めに「魚の格付け」のこと

 カニ、フグ、マグロ。これらは江戸時代、下等な魚“下魚”でした。では江戸時代、どのような魚が上等だったのでしょう。当時の料理書、例えば『古今料理集』(1673〜81年刊行)、『黒白精味集』(1746年刊行)には、様々な食材を格付けした記述があります。これによるとタイやアワビ、伊勢エビやアンコウに並んで、庶民的なサケやマス、カレイ、シジミ、さらに現在ではあまり好まれないフナも上等な魚とされました。その一方、高級食材のヒラメやウナギ、アラ、ハマグリ、サザエ、食用のイメージがあまりないボラは中魚です。またアジが中魚なのに対して、シマアジは下魚。コハダの寿司は江戸時代(後期)から人気でしたが、コハダもまた下魚でした。
 津軽信政が生母、久祥院を城に招いてもてなした饗応料理の献立があります。1684年初冬の献立です。ここで出された魚や魚の加工品はボラ、ヒラメ、タラ(身と白子)、石カレイ、タコ、からすみ、数の子、ソイ、アワビでした。着目したいのはボラと石カレイ。ボラは刺身で出されており、現在ではそう多くは料理屋で出されることはありません。しかし、冬のボラは特に北津軽郡ではタイより美味とされてもいます。また、石カレイは醤油の付け焼きで出されました。干したものかは明確にわかりませんが、石カレイの評価は現在では様々。しかし昔はカレイは上魚とされ、もてなしの素材だったと思われます。
 先の例のとおり魚の価値は、昔と現代では必ずしも一致していません。これは人々の味覚が変わったせいでしょうか。いや、稀少なものや高価なもの=美味しいという、意識も多分にあるでしょう。でなければ、何をよりどころに価値を定めたらいいのやらといったところでしょうか。

多種のもずく、海藻類も豊富。

 青森県でモズクといえば、シャキシャキな歯ごたえの「イシモズク(褐藻綱ナガマツモ目ナガマツモ科イシモズク属)」。沖縄モズクとは全く異なる食感と粘りが特徴です。同じイシモズクでも生育場所や付着する基質で硬さや粘度が異なり、石や岩に付くイワモズクやマッカモズク、海藻に付くクサモズクやソーメンモズクなどに区別されています。
 また、他の海藻類に、ギバサやメカブ(ネカブ)、岩ノリ、フノリなどミネラルたっぷりの“ネバネバ素材”も豊富です。

「こみ魚」(がさ)の魅力

 数も大きさも揃わない魚が水揚げされます。これらは、一箱数百円という、なかば“捨て値”で売られます。しかしその一尾一尾は貴重で稀少なものも少なくありません。そんな珍魚に出会うことができるのも「白神の魚」ならではです。

豊穣の海、津軽西北海岸。

漁獲種の多様さは日本でも有数を誇ります。背景に書かれてある魚は西海岸で水揚げされる魚種の一部です。出世魚や同種の魚も記載しています。県外の卸売市場を賑わす西海岸の魚には、“寒ヒラメ”としてブランド力の高いヒラメ、“海峡メバル”として昨今頭角を現してきたウスメバル、“日本海、夏の生本マグロ”として市場を賑わす黒マグロ、ズワイガニ漁の盛んな日本海の漁港の中でも有数の水揚げを誇る「沢辺漁港」の紅ズワイガニなどがあります。

旬と変化を愉しみたい
西海岸の美味しい魚たち。

 “旬を愉しむ”はよく聞く言葉ですが、いつのどのような状態、味が旬なのか判断しにくいのが実情ではないでしょうか。魚もしかり、果たして旬と呼ばれる時期はいつなのか…。魚の旬は一般的におよそ産卵直前の最も体力が充実した時期、または漁の最盛期といった考えもあります。しかしながら、脂がのった“旬の魚”が「くどくていやだ」という方もいます。
 白神の魚はその時節の味わいを愉しむのも一興。例えば、桜鱒の出始めは幾分たんぱくな味わいですが、徐々に身も太り 脂ものってきます。その時節によって“あっさり味”や“こってり味”を愉しむことが可能です。他の魚についても、数ヶ月に渡る漁期のなかで、変化に富む味覚の変遷を愉しめるのも「白神の魚」ならでわです。

白神の魚主な魚種(下記の画像をクリックすると拡大します。)

魚種一覧

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